私は現在、実験エンジニアとして、電気自動車に搭載するリチウムイオンバッテリーの安全性能評価を担当しています。電気自動車のバッテリーといえば、世界の自動車メーカーが激烈な開発争いを繰り広げる分野。世に出る前の試作品を扱うことも多く、世界トップレベルの技術を誰よりも早く知ることができます。そんな実験エンジニアの仕事に大きなやりがいを感じる日々ですが、最初からそうなることを目指していたわけではありません。
もともとは「成長分野のIT業界に就職し、出世コースを歩んで成功する」、そんなキャリアパスを描いて情報系の専門学校に入り、卒業後は希望通り、大手IT企業に就職しました。ところが入社してみると、その会社では自分が思い描いていたようなコースを歩むのは難しいとわかり、転職することに。
IT系を中心にさまざまな企業を検討する中、転職サイトで知ったのがビーネックステクノロジーズでした。当時のWEBサイトに載っていた、自動車の衝突安全性能テストに惹かれ、実験エンジニアという職種にも興味をもったんです。もともとクルマが好きだったこともあり、面白そうだなと思いました。
応募はしたものの、正直なところ本命は別の企業で、ビーネックステクノロジーズは滑り止めでした。それが、面接のあとで第一志望に急浮上。一番の理由は、採用担当の方たちの対応でした。終始フレンドリーで、面接とは思えない和やかな雰囲気に、「ここで働いたら楽しそうだな。自分らしく働けそうだな」と気持ちが大きく動いたんです。オフィスのエントランスにクルマのエアロパーツが展示されるほど自動車業界に強い会社であること、大手メーカーとの取引も多く、自分のやりたい仕事に就きやすいことも後押しになりました。
将来性を考えてIT系に進むべきではないかと葛藤もありましたが、最後は「ワクワク」する気持ちが勝ちました。「自動車の、それも先進的な領域に携わる実験エンジニアを目指そう。この会社なら、きっと夢が叶う」そう考え、入社を決意しました。
現在の業務は、車載用リチウムイオンバッテリーの「安全性能評価」です。バッテリーが本来の使用方法から逸脱した使われ方をしたときにどうなるかを確認するため、バッテリーを過充電する、海水に浸水するなど、ありとあらゆる方法でバッテリーにダメージを与えるテストを実施します。思えば子どもの頃から好奇心旺盛で、ミニカーやボールペンを壊したり、分解したりしては観察するのが好きだったので、今は好きなことがそのまま仕事になっているような状態です。
とはいえ、テストとなれば、ただ壊せばいいわけではありません。温度センサーを設置するにも、位置がほんのわずかにずれるだけでデータにばらつきが出てしまうため、精密さや手先の器用さが重要です。また、テストでは動画撮影や録音もするので、さまざまな機器を使いこなす必要もあります。幅広い知識・スキルを求められるという点においても、いろいろなことに興味が湧く私にぴったりな仕事。ときには山の中で実験を行うこともあり、とても刺激的です。
当社に入社して実験エンジニアになるまでには、通信会社でITエンジニア、通貨処理機メーカーでカスタマーエンジニアなども経験しました。おかげで、新しい環境にも素早く対応する適応力が身に付きました。多様な経験を積み、人としての底力を高めることができる点は、ビーネックステクノロジーズで働く魅力です。実は、昔は人と話すことや電話をかけることも苦手でしたが、今では困った人がいれば積極的に声をかけることもできるようになり、コミュニケーション能力が高くなったと思います。
実験エンジニアになってからは約2年が経ち、最初はテスト工程の一部しかわかりませんでしたが、今は全工程を一人でこなしています。クライアントからの要望に対し、その場で必要な工程やスケジュールを組み、提案できるまでにもなりました。新しくできた後輩とは二人でYouTubeを始めるほど仲が良いですが、「危険なことはきちんと危険と伝える」など、オンオフでメリハリをつけるようにしています。
今後は、技術力をさらに高め、危険物や高所、フォークリフトなどの資格を取り、自分ができることの幅をさらに広げていきたいと考えています。そしていつか、テストのルールや規格を自ら考案し、認証を「取る」側から「与える」側になりたい。一人でも多くの実験エンジニアがラクできるよう、効率化アップに貢献することが目標です。