前職では、計測制御機器メーカーなどで、電気・ソフトウェア系の設計業務に就いてきました。ビーネックステクノロジーズに興味をもったのは、自動車業界との関係が良く、仕事の選択肢が多そうだったから。今後の継続的な成長が見込まれる自動車業界でスキルを身に付けておけば、エンジニアとして長く活躍できるのではないかと考えたのです。
業界未経験で不安もありましたが、エンジニアとしてスキルの幅が広がることへの期待の方が大きかったですね。
2012年の入社以来ずっと、ある自動車部品メーカーに常駐させていただき、車両用制御ユニット、運行管理システム(情報端末)、エンジンコントロールユニット(ECU)の設計を経験してきました。設計の仕事の進め方にはある程度の経験はありましたが、自動車特有の知識は覚えていくしかありません。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンで設計は大きく異なりますし、エンジンルームに置いてあって外から見えないものなのか、情報端末のように運転者の目に触れるものなのかで、使われる素材やデザイン性が変わってきます。最初は、どんな材料がどう使われているのかを、一つひとつ確認しながら仕事を進めていきました。
入社7年目になった今は、ECU設計部門で、20人のメンバーをもつ課長代理を任されています。たまたま、前の課長が部長に昇進し、ポジションが空いたのでサポートする形で入ったんです。気づいたら、部下がたくさんできていました(笑)。
メンバーは、配属先企業の社員、ビーネックステクノロジーズのエンジニア、他の派遣会社のエンジニアなど、年齢層もバックグラウンドもさまざま。業務ごとに5つのチームに分け、それぞれにリーダーを立てています。
マネジメント上で意識しているのは、自分の目標を自分で設定させ、そこに向かってきちんと順番を追ってスキルアップさせることです。1つのものを設計するには「この部品をこう使ったから、こう動く」といった正確な手順があります。論理的な思考力が大切なので、私も「これができるようになるには、まずはこの知識を身に付けなくてはいけないよ」と論理的に指摘するように心がけています。
未経験の新人にも、主となる業務を任せるのが大切です。「この部品のリサーチは頼んだ」と一任することで、自分で考え、行動するようになるからです。
また、若いエンジニアはものづくりの一連の流れを見ずに、1工程ずつ、飛び飛びに経験していることが多いんです。仕様から考えて、設計して…というものづくりの工程を時系列に教えて、必要な技術やスキルは何かを伝えるようにしています。
設計者として私自身が大切にしているのは、個々の部品を作ってくれるメーカーとの密なコミュニケーションです。メーカーの方はその領域の専門家。教えていただけることがたくさんあります。試作ができたときには、製造現場を訪れ、自分が設計したものを一緒に確認します。実物を見てみると、微修正した方が良い部分が見えてくることも。担当者と相談しながら「この部分は量産を始めたときに不具合が出るかもしれないので、少し調整しておきましょう」などと、事前に動けたりもします。
設計者というと、カッコ良くオフィスでCADを使っている…というイメージがあるかもしれませんが、そうじゃない。ものが無事に動いて設計の仕事は完了するので、良いものを作るために、メーカーとの連携など動きまわることも大切です。メンバーにも、机上だけで物事を考えていちゃダメだよ、とよく言っていますね。
新しい製品には常に興味をもって、この設計が正解なのか、もっとほかにできることがあるんじゃないかと、追究し続ける姿勢はとても大事だと思います。私はインプットのためにその技術領域に関する論文を読んで勉強しています。ビーネックステクノロジーズが提供する通信教育、eラーニングなど学びの機会ももっと活用していきたいと思っています。