デザイナーから半導体の設計・評価エンジニアへ。
家庭と仕事、どちらの時間も大切にしたい。
二村 美樹 MIKI FUTAMURA
《プロフィール》
デザイナーとしてのキャリアから一転、エンジニアの世界へ飛びみ、現在は育児をしながら、半導体のレイアウト設計・評価業務を担当。
知らないことを知ることが、楽しい。未経験から5年目でチームリーダへ。
幼い頃から「ものづくり」が大好きでした。高校ではスマートフォンや家電といった工業製品のプロダクトデザインを専攻し、卒業後は家電量販店の販売員を経て、憧れの広告デザイン制作会社に就職。ただ会社都合で退職することになり、それならこのタイミングで方向転換してみよう、工業製品の外側についての知識はあるから中身も知ればもっと良い仕事をできるのではないか。そう思い、夢テクノロジー(現:ビーネックステクノロジーズ)に転職しました。
1社目は未経験でしたが、アナログICの評価業務を担当することになりました。業務は主にICの電源電圧に関する評価や評価用の治具作成、基板の作成です。「最初からできる人はいない」「やってみないとわからない」という気持ちで飛び込み、実際の業務を通じて知識を身に付けていきましたね。大変だと思うことよりは、知らないことを知ることが楽しかったですし、やりぬく根性と、わからないことがあっても誰かに聞く自信だけはあったので、怖いもの知らずの姿勢で、自分から先輩にぐいぐい質問しに行って(笑)。そうして5年目にはチームのリーダーを任されるまでに成長しました。
「やってみないとわからない」で広がったエンジニアの世界。
現在は半導体のレイアウト設計と評価業務に携わっているのですが、この業務を任されることになったきっかけは、「やってみない?」と挑戦する機会を与えていただいたから。「やってみないとわからない」という理由で挑戦した結果、自分の世界がとても広がりました。
実際のレイアウト設計は、回路図をもとに金属の配線を引く業務です。レイアウトツールを用いて、ICチップを想定した空間上にトランジスタや抵抗などを配置し、配線を設計していきます。半導体の基盤の中に構成要素をどう収めていくかという、ある意味デザインに近い業務で、高校時代に学んだことが活かされています。レイアウト後、パッケージ化された製品が想定通りに機能するかをテストするのが評価業務。さまざまな条件下で、電源のON/OFFが正常にできるか、ONのときは何ボルトで作動するか、それらは想定通りの結果になっているかなどを確認します。
私が担当した半導体は、主にスマートフォンやカーナビ、おもちゃなどに使われています。やりがいを感じるのは、やはり自分が携わったものが製品として形になったとき。できあがった製品を見ると自分が少しでも役に立てた実感が湧いて、達成感が得られますね。
「育児」と「エンジニア」どちらも大切にできる環境がここにあった。
入社時に心掛けていたのは、先輩をよく観察するということ。私の職場には、仕事の進め方が非常に計画的で効率的な先輩がいたのですが、その人の仕事の様子を観察してみたところ、さまざまな業務のスケジュールを逆算してムダな時間をなくすといった工夫をされていることに気付きました。
その先輩を見習い、育児で時短勤務をしている今も、私は自分が1時間でどれくらい仕事を進められるのかを把握して、任された仕事にどれくらい時間がかかるのか、必ず見通しを立てるようにしています。そうすると日程が詰まって厳しいかもしれないと感じたら、すぐに相談・調整できますし、やっぱり仕事をする以上、しっかりアウトプットも出していきたいと考えています。
今、自分がありたい姿に向かって前進できている実感があります。数年後、子どもが小学校に上がっても仕事と両立していけるように、働き方の工夫は続けたい。それができる環境で家庭と仕事、どちらも楽しみながら大切にしていく。これは私が大事にしている軸です。
取材日:2024.8.2