機械設計エンジニアの仕事内容|年収や転職に役立つスキル・資格も紹介
「機械設計エンジニアの仕事内容をもっと深く知りたい」
「機械設計エンジニアに向いている人や待遇が気になる」
「機械設計エンジニアの将来性が知りたい」
機械設計エンジニアという職種に関して、このような疑問をもつ人も多いのではないでしょうか。
機械設計エンジニアは、日本の先端のモノづくりを支え、まだこの世にない製品を生み出し形にする重要な仕事です。
本記事では、今後も需要が高まっていくと予想される、機械設計エンジニアの仕事内容を詳しく解説します。
年収例や向いている人の特徴、経験者の転職やエンジニア未経験から転職する方法なども紹介しますので、機械設計エンジニアの仕事に興味がある人はぜひ、参考にしてみてください。
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|機械設計エンジニアの仕事内容
機械設計エンジニアとは、機械が動く仕組みを作るエンジニアです。自動車、航空機、半導体、ロボットなど、あらゆる業界でさまざまな機械の設計を手掛けています。
機械設計エンジニアの仕事内容を、3つのステップに分けて解説します。
- 概念設計
- 基本設計
- 詳細設計
仕事内容の全体像のイメージをつかんでおくと、実際に業務にあたる時に役立ちます。
1. 概念設計
概念設計とは、顧客からの要望にもとづいて機械のコンセプトを考える作業です。
機械の使用目的・安全性・コストなどを踏まえつつ、製作に使用する技術や部品の素材などを決めていきます。
たとえば自動車の場合、販売対象であるターゲット層を決めて、ターゲットに見合った機能・デザイン・価格設定や、どのような技術が取り入れられそうかといった検討が必要です。これらを仕様書として落とし込み「家族で快適なドライブができるクルマ」「小回りがきいてコンパクトなクルマ」といった、製品のコンセプトを決定します。
2. 基本設計
基本設計とは、機械の基本的な仕様を検討し設計する作業です。
概念設計で決定したコンセプトをもとに、より機械の構造を具現化するために、材料の検討をはじめ各部品の寸法は何ミリになるか、部品同士の干渉はどうかなど、必要な機能を満たすための具体的な数値を検討し設計します。
CAMやCAEなどの解析ツールを使い、設計データの解析やシミュレーションも行い、概念設計の内容に問題がないか、実際に製造できそうかなどの確認検証も行います。
3. 詳細設計
詳細設計とは、基本設計の内容をもとに機械を製造できるレベルまで具体的に落とし込み、製図ツールのCADで機械の設計図を作成する作業です。
機能面や安全性を考慮しつつ、自動車に必要な部品・寸法などを確定して図面に書き込みます。そして実際に試作や実験を行って素材や形状の改善点を洗い出したり、製造コストを検討したりします。
これらの作業をしっかり行うことで製品の不具合やトラブルを防げるため、重要な工程です。
企業によりますが、各設計段階でレビューを行うこともあります。製造部門だけでなくさまざまな部署のエンジニアがそれぞれの観点で評価することで、設計をよりブラッシュアップできるのがメリットです。
|機械設計エンジニアの年収例
機械設計エンジニアの年収はどれくらいなのでしょうか。ここでは、機械設計エンジニアの年収例を3つ紹介します。
年収例 | 内訳 | 経験年数 |
---|---|---|
798万円 | 月給53万+残業手当 +賞与年2回 | 経験26年 |
654万円 | 月給43万+残業手当 +賞与年2回 | 経験21年 |
536万円 | 月給35万+残業手当 +賞与年2回 | 経験12年 |
※上記は、残業11時間分を含みます。年収例は一例であり経験やスキルにより異なります。
需要のある知識やスキルを身に付けていくことで、年収アップが期待できる職種です。
|機械設計エンジニアに必要な知識・スキル4選
機械設計エンジニアに必要とされる知識・スキルは主に以下4つです。
- 機械設計(4大力学)の知識
- CADなどの操作スキル
- アイデアを生み出す発想力
- 仲間と仕事を進めるコミュニケーション能力
これらを併せもっていると、仕事をより円滑に進められるでしょう。
1. 機械設計(4大力学)の知識
機械設計エンジニアには、機械工学の専門知識が欠かせません。主に4大力学と呼ばれる以下の分野です。
- 機械力学
- 熱力学
- 材料力学
- 流体力学
機械が動くことで発生する力や、それによってどのような影響が生まれるかを研究する物理学の分野です。
これらの知識があることで、機械のアイデアを設計に落とし込んだり、機械がどのように動くか想定したりできます。機械設計全般に欠かせない知識と言えるでしょう。
学習方法は、自分にとってわかりやすい参考書や機械設計の基礎知識がおさえられる「JISにもとづく機械設計製図便覧」を読むのがおすすめです。
2. CADなどの操作スキル
機械設計エンジニアの仕事の根幹である機械の設計図作成には、製図ツールのCADを使いこなす必要があります。
現在、設計図の作成はほとんどCADで行われているといっても過言ではありません。構想段階では手書きで行う人もいますが、効率よく精度の高い図面を作成するにはCADが不可欠です。
また、CADと同様にパソコン上で解析やシミュレーションを行うCAMやCAEの知識やスキルも必要です。
3. アイデアを生み出す発想力
機械設計エンジニアは、顧客の要望に沿った新しい機械を構想し生み出すことが求められます。
アイデアを生み出す発想力を磨くには、最新技術に関する知識や業界のトレンドなどを日々インプットしておくことが重要です。何もないところからアイデアは生まれません。
機械関連だけでなく、常日頃からアンテナを高くしてニュースや専門雑誌をチェックし、いろいろな情報に触れておくのがおすすめです。思いもよらない分野の知識や経験からアイデアが浮かぶこともあります。
4. 仲間と仕事を進めるコミュニケーション能力
機械設計は基本的にチームで仕事を行うため、仲間で情報を共有し連携するためにはコミュニケーションが欠かせません。
時には、機械に詳しくない営業担当や顧客と仕事をすることもあるでしょう。そのような相手にも製品についてわかりやすく説明する力が必要です。
特に、顧客とのやり取りで行き違いや思い込みが生じると、完成品が意図どおりの品質を満たさなくなる恐れもあります。顧客のニーズをくみ取り、どのような製品を求めているのか具体的に聞き出すためにもコミュニケーション能力は不可欠です。
|機械設計エンジニアのやりがい
機械設計エンジニアのやりがいとは、モノづくりにイチから携われることです。まだこの世にないものを生み出す仕事は、さまざまな過程で困難を伴います。しかし、作業を重ねて1つの製品を完成させたときの達成感はひとしおです。
携わった製品を直接目にしたり、世間の注目を集めたりすれば自分の仕事が誰かの役に立っている実感もいっそうわくでしょう。仕事内容や製品が評価されれば自分の成長にもつながり、キャリアアップも期待できます。
|機械設計エンジニアに向いている人の特徴3選
機械設計エンジニアに向いている人には、以下のような特徴があります。
- 機械が好きな人
- 新しい情報・スキルを貪欲に吸収できる人
- 粘り強く作業に取り組める人
上記の特徴をもつ人は、エンジニアとしてキャリアアップも期待できるでしょう。
1. 機械が好きな人
機械設計エンジニアは「機械の構造を調べるのが好き」「ロボットを組み立てるのが好き」など、機械やモノづくりが好きな人が向いています。機械設計エンジニアの仕事は複雑で、トライ&エラーの繰り返しになることも多いです。
好きでなければ挫けてしまうこともあるかもしれません。機械が好きな人であれば、いかなるときもモチベーション高く仕事に打ち込めるでしょう。
2. 新しい情報・スキルを貪欲に吸収できる人
最新の情報やスキルを貪欲に吸収できる人も機械設計エンジニアに向いています。
どの業界においても技術は日進月歩で進化しています。トレンドの変化もめまぐるしいため、古い知識や技術のみに固執していてはエンジニアとして取り残されてしまうでしょう。
業界関連のニュースをチェックしたり、社内外の勉強会や研修に参加したりして、新しい技術・知識・スキルを都度積極的に学ぶことがおすすめです。学んだ知識やスキルが業務に活かせると、より良い製品が作れるようになるでしょう。
3. 粘り強く作業に取り組める人
1つのことにコツコツ粘り強く取り組める人も機械設計エンジニアに向いています。機械設計はミリ単位の寸法で図面を描いたり、部品の配置を考えたりと、細かな作業が多い地道な仕事でもあります。
1つの作業に注力する集中力はもちろん必要ですが、設計段階のミスはその後の開発フェーズに多大な影響を及ぼします。作業がスムーズに進まないことがあっても、諦めずに粘り強く試行錯誤を続けられる人が向いています。
|機械設計エンジニアの仕事で気を付けたいポイント
機械設計エンジニアの仕事で気を付けたいポイントは、主に以下4つです。
- 機械設計以外の業務も多い
- 納期を厳守しなければならない
- 安全面の配慮が欠かせない
- 細かい作業が苦手な人には不向き
機械設計はチームで仕事をするため、1人で黙々と設計だけを行うわけではありません。チーム内のポジションによってはメンバーの進捗管理をしたり、各部署が集まる会議に出席したりすることもあるでしょう。
作業の調整がうまくいかなかったり、思いがけないトラブルがあったりすると納期に追われることもあります。
そして、製品で最も求められるのは高い安全性です。ミス1つで重大な欠陥が生じ、顧客からの信頼を損ねることもあるので細心の注意を払って作業する必要があります。
さまざまな配慮をしつつコツコツと行う作業が多いため、細かい作業が苦手な人には向いていないでしょう。
|機械設計エンジニアに役立つ資格
機械設計エンジニアの仕事で役立つ資格を4つ紹介します。
- 機械設計技術者試験
- CAD利用技術者試験
- 機械・プラント製図技能士
- 技術士
いずれも実践的な知識やスキルが身に付くため、取得していないものがあれば検討してみてください。
機械設計技術者試験
一般社団法人日本機械設計工業会が実施する、機械設計の技術力を評価する試験です。
試験名 | 機械設計技術者試験 |
---|---|
試験レベル | 1級・2級・3級 |
受験資格 | 1級:実務経験5~10年※もしくは2級有資格者 2級:実務経験3~7年※もしくは実務経験2~4年※の3級有資格者 3級:不問 |
出題範囲 | 機械工学に関する知識 1級は小論文、実技に関する問題あり |
※受験に必要な実務経験は最終学歴などによって異なります
機械設計エンジニアに必須の4大力学をはじめとして、小論文や実技に関する問題も出題されます。
転職活動ではこの資格をもっていると優遇されることもあります。知識に自信がない人はまず3級に挑戦しましょう。基礎知識をおさえている証明になります。
CAD利用技術者試験
一般社団法人コンピュータ教育振興協会が実施する、CADソフトに関する知識や作図スキルを測定する試験です。
2次元CADと3次元CADの2種類があります。さらに2次元CADの1級は「機械」「建築」「トレース」の3分野にわかれており、目指す職種や目的に応じて選択します。
レベル | 受験資格/対象者 | 試験内容 |
---|---|---|
2次元CAD利用技術者試験 (1級・2級・基礎) | 1級:2級または1級有資格者 2級・基礎:不問 | CADシステム・製図などの知識 1級は作図などの実技試験あり |
3次元CAD利用技術者試験 (1級・準1級・2級) | 1級:準1級または2級有資格者 準1級:2級有資格者 2級:不問 | 3次元CAD・モデリングなどの知識 準1級、1級はモデリング作成などの実技試験あり |
設計図を作成する業務が多い機械設計エンジニアにとって、CADの操作スキルは不可欠です。CADはあらゆる業界の設計過程で使用されるため、転職活動では基本的な製図スキルが身に付いている証明となるでしょう。
機械・プラント製図技能士
都道府県職業開発協会が実施する、機械やプラントの製図スキルを測定する国家資格です。「機械製図手書き作業」「機械製図CAD作業」「プラント配管製図作業」の3種類にわかれています。
区分 | 機械製図手書き作業 | 機械製図CAD作業 | プラント配管製図作業 |
---|---|---|---|
試験レベル | 1級・2級・3級 | 1級・2級・3級 | 1級・2級 |
受験資格 | 1級:実務経験7年以上(2級有資格者は2年、3級有資格者は4年) 2級:実務経験2年以上もしくは3級有資格者 3級:不問 | ||
出題範囲 | 製図知識・材料力学・溶接など 実技試験で機械製図手書き作業あり | 製図知識・材料力学・溶接など 実技試験で機械製図CAD作業あり | 製図知識・材料力学・溶接など 実技試験でプラント配管製図作業あり |
機械に関する知識や製図スキルが求められるため、機械設計の分野において非常に重要な資格です。国家資格なので、転職活動では確かな知識や技術がある心強い証明となります。
資格を活かせる分野は建築・電気・機械など幅広いため、あらゆる業界の業務で重宝するでしょう。
技術士
技術士とは、科学技術に関する高度な知識や応用能力があると国に認定された技術者です。
技術士になるには、修習技術者となり技術士二次試験に合格する必要があります。修習技術者になるには、技術士一次試験に合格するか、指定の教育課程(JABEE)を修了する必要があります。
区分 | 技術士一次試験 | 技術士二次試験 |
---|---|---|
受験資格 | 不問 | 実務経験のある修習技術者 ※下記参照 |
出題範囲 | 科学技術全般の基礎知識 20部門から選択した専門分野の知識 | 科学技術全般の基礎知識 20部門から選択した専門分野の知識 口頭試験あり(筆記試験合格者のみ) |
修習技術者になったあとは、以下3つの経路のいずれかで二次試験の受験資格を得られます。
- 技術士補登録をして指導技術士の下で実務経験が4年以上
- 職務上の監督者の下で実務経験が4年以上(技術士第一次試験合格後)
- 実務経験7年以上
一次、二次いずれも選択科目は20部門から分野を選ばなければなりません。機械設計エンジニアは機械部門で合格すると、機械設計に関する知識やスキルが備わっている証明となります。
|機械設計エンジニアに関するよくある質問3つ
転職する方法や将来性など、機械設計エンジニアに関する質問3つに回答します。
- 機械設計エンジニアは設計未経験から転職できる?
- 機械設計エンジニアにはどんなキャリアパスがある?
- 機械設計エンジニアに将来性はある?
機械設計エンジニアとして今後の方向性に悩んでいる方は、参考にしてみてください。
機械設計エンジニアは設計未経験から転職できる?
機械設計エンジニアは専門性が高い職種のため、設計未経験での転職は難しいでしょう。ただ、不可能ではありません。
未経験の場合は、OJT研修で働きながらCADを学ぶこともできます。またCAD操作を学べるオンラインスクールや、ハローワーク紹介の職業訓練校で基本的な知識やスキルを習得するのもおすすめです。市場規模の拡大や労働人口の減少などでエンジニアは人材不足なため、未経験でもポテンシャルがあれば採用される可能性はあります。
また、機械分野でなくても実験や生産技術、製造技術などのエンジニア経験者であれば、技術知識があるため未経験者より採用される可能性は高いでしょう。
当社ビーネックステクノロジーズには、未経験から設計エンジニアとして活躍しているメンバーもいます。詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:自動車用モータの設計というやりがいと責任感。知れば知るほど「もっと学びたい」と思える奥深い仕事です。
機械設計エンジニアにはどんなキャリアパスがある?
企業によりますが、就業直後はメインの設計担当者の補助として、図面や資料の修正・部品の手直しなどの作業が多いでしょう。実務経験を重ねて設計担当者にステップアップしていきます。
たとえば、以下のような流れで設計担当者になります。
CADオペレーター 設計者の指示に基づき、CADを用いて図面修正や部品表の作成などのサポート業務を行います。 設計補助 部品図の作成や組図の作成、時には試作品の評価も行います。 設計 材料の検討や部品の形状や強度などを検討し、詳細な仕様を決めていく業務です。
設計担当となったあとのキャリアパスも人それぞれです。知識を活かして違う製品の設計に挑戦する人もいます。またビーネックステクノロジーズでは、就業先とエンジニアとの双方の合意があれば就業先の企業への移籍も可能です。
機械設計エンジニアに将来性はある?
機械設計エンジニアは将来性のある職種と言えます。日本製の製品は海外でも高く評価されており、外資系企業などで海外を相手に仕事をするエンジニアも多くいます。
近年、AI技術が発展していることから、「AIに仕事が奪われるのでは」と危惧する声があるのも事実です。しかし、AIが代わりに作業するにしても、AIを管理・制御するエンジニアには機械設計の知識や技術が必要なことに変わりありません。
AIやIoTの進化により、モノづくり業界はさらに勢いを増していくでしょう。機械設計エンジニアの需要はますます高まり、活躍の場も広がっていくと予想されます。
|機械設計エンジニアは今後ますます活躍が期待される仕事
機械設計は、新たな機械を考え生み出す、モノづくりの根幹を支える重要な仕事です。その担い手である機械設計エンジニアは、AIやIoTなど技術革新が進む中で今後ますますの活躍が期待されます。
機械設計の知識はもちろん、コミュニケーション能力などさまざまなスキルが必要とされ、納期を守りながら安全に配慮する姿勢も求められます。
しかし、私たちの生活や作業になくてはならない製品を作るという、大きな社会貢献ができるやりがいに満ちた仕事です。
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